経団連が30日、新型コロナウイルス対策に関する緊急提言というものを出しました。
そこには新卒採用について、「第二の就職氷河期を作らないよう、全力を尽くすこと」、「採用情報発信の透明性を上げつつ、エントリーシート締切りの延長やウェブサイトを活用した選考、スケジュールの弾力化により、納得ある就職活動が全うできるよう手を尽くすこと」が書いてあります。
これを見ると、経団連も新卒に配慮しているといった印象を受けると思いますが、おそらく提言に書いてあるような配慮については行われないのではないかと考えています。
今回はその理由を書いていきます。
第二の氷河期世代を作らないというが
そもそも氷河期世代とは、一般的に1990年半ばから2000年代前半までに社会や大学を卒業した世代を指し、就職状況がとても厳しく非正規雇用の方が多くなってしまった世代のことです。
今回の提言で第二の氷河期世代を作らないと言っていますが、そもそも第二の氷河期世代はすでに生まれています。リーマンショックや東日本大震災に見舞われた2008年から2013年に社会や大学を出た世代です。
昨今、氷河期世代の問題が出てきたため、提言で盛り込んだと思いますが、彼らはすでにリーマンショック時の採用抑制を忘れています。
また、日本企業の主要な顧客は日本人ではなく、グローバルな人々になっています。なおかつ、グローバルな経済環境に対応すべく、人材も外国人を積極的に採用しています。
そんな中、あえて日本人を自分たちの利益が少ないのに採用するとはとても思えません。
新卒採用抑制は起こる
すでに、コロナショックによって実体経済に影響が出始めているため、新卒採用抑制は2021年卒から高い確率で起こると思います。
ただ、経団連としても提言で「納得ある就職活動が全うできるよう手を尽くす」と言っている以上、説明会などは例年並みに行うと思います。
ここで重要なのはスケジュールを柔軟にしようとも、説明会を数多く開催しようとも、採用されなければ意味がないということです。提言に書かれているように「納得ある就職活動」ができれば良いのであって、採用数を前年並みに維持するとは書かれていません。
結局のところ、企業は「第二の氷河期世代を作らないように尽力したが、我が社に合うような人材がいなかった」と言ってしまえば終わりです。
業績が落ちている企業にとっては良い理由ができた
コロナショックの前から日本経済は消費税増税によって影響が出ていました。
しかし、政府は一向に「緩やかに回復している」との判断を維持し続け、就労者の賃上げを求めていました。景気が回復傾向なのに採用抑制を取るということは、他社に比べ経営がうまくいっていないということになるため、実際には業績が良くなかったとしても、採用抑制をすることは難しい状況でした。
今回のコロナショックによって政府の月例経済報告では「足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある。」と判断を下方修正しました。
こうなると、採用抑制にお墨付きを得たも同然であるため、企業としては採用抑制に動きやすくなりました。そもそも、経営環境が厳しいのに採用増やしてしまうと、株主などからツッコミが入る可能性があるため、抑制せざるを得ないと思います。
本来は採用を増やすべき公務員も採用を増やさない
こういった状況では公務員の就職人気が上がると思います。そして、不景気のときには公的部門が雇用を維持しなければ就職氷河期世代が生まれてしまう可能性が高くなります。
しかし、公的部門が雇用を増やすことはありません。なぜなら、多くの公的部門は人口減少社会を前提に考えているからです。
政府は、人口増加のためにあらゆる施策を打っていますが、一般的な地方自治体は人口減少社会に備え、なるべく余計な仕事をなくしています。人口減少が進むと自治体に入る税金が減りますので、それを考えれば解雇規制が厳しい職員採用については慎重にならざるを得ません。
そもそも、現在は第一の就職氷河期世代の雇用をどうするかで各自治体は頭を悩ましているため、今回の世代にスポットが当たるのはリーマンショック世代のケアが終わった後になる可能性が高いと思います。
まとめ
ここまで書いてきたように、状況はとても厳しいと言わざるを得ないと思います。
ここまで来ると、就活生一人では解決できないため、まずは親御さんとよく話してください。私のときと新卒という資格がどれほど効力があるのかわかりませんが、それでも一定の効力はあると思いますので、就職留年も含めて相談をすべきだと考えます。
昨年までと違い、今回の件で一気に先が見通せない状況となったため、就活生は早め早めに動くことを心がける必要があると思います。
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